大工の仕事って?

みなさん「大工」というとどんなイメージですか?
耳にえんぴつをはさんで、カンナをかけて鰹節みたいに薄く木材を削ったり、口に釘をくわえてカナヅチでトンカン。
木と対話しながら黙々と仕事をこなす。
こだわりがあって頑固で、納得のいかねえ仕事はしねえ!てやんでえ!みたいな職人気質。
え?さすがにそこまで大げさなイメージは持ってない?(^_^;)
まあでもそんな感じを思い浮かべる方が多いのかなーと思います。

自分や仲間にあてはめてみると、大工の性格的なところは確かに、頑固だとかこだわりが強いみたいな所はありますね。
でも、使っている道具や現場の環境は、上に書いたようなイメージとはだいぶ違うかも。

いまは、のこぎり・釘打ちなどの道具はほとんどが電動です。現場はけっこうな数の機械が並んでます。
柱や梁などの構造材はすべて工場であらかじめ加工されたプレカット材を現場に搬入して、2、3日でいっきに建てていきます。
なので、大工の典型的イメージにありそうなカンナやノミを使う機会は昔よりかなり減っていると思います。

そういう面を見た人は、「いまの大工は、大工っていうより”組み立て工”だな」って言う人もいます。
でも、それは激しく違う。

みなさんご存知の通り、昔の家と今の家じゃ、性能も造り方もデザインも、何もかもが変わっていますよね。
同じように、家を造るほうも変化していないとおかしいと思いませんか?

高気密高断熱、それ以外にも高い性能が求められるいまの住宅では、昔では考えられない工法や技術が必要とされています。
大工は、その新しい工法や技術を理解して、新しい素材を使って、正しく施工しないといけない。
そして、1棟の家づくりに1年も2年もかけていたら職人の人件費だけでとんでもないことになるので、効率化できることはしていかなきゃいけない。

手仕事が機械化したからといって全てが悪になるはずもありません。
むしろ「精度」という意味では、機械のほうが圧倒的に優秀。
新しい情報を理解して自分自身も進化していなかければならない。
現代の大工は、昔よりももっと広い分野で知識・経験・技術を求められている職人だと言えます。

それに、機械や情報はあくまでも道具として手助けしてくれるだけで、使うのは人間である大工です。
目で見て、手で触って、感覚で確かめながら造っていく作業は必ずあるし、それをどれだけ突き詰めるか、それが課題でもあります。
そういう意味では、ツールが変わっただけで、大工の心意気みたいなものは今も昔も変わりないのかもしれませんね。