「普通の」仕事を望むだけ

7月から不動産会社の新築現場で木工事をやっています。

毎日暑すぎますね。外仕事もたいがい辛いですが、風も無い屋内の仕事というのもまた身の危険を感じるほどの暑苦しさに見舞われます。暑さで死ぬのは嫌なので、現場にこんなものを導入することにしました。

ポータブルクーラーです。ポータブルとは聞こえが良いが重さは30kg、おいそれと持ち運びは出来ませんが、1~2カ月おなじ現場で作業する私のような身ならば案外使えるんじゃないかと。

さすがにキンキンに冷えて仕事が快適!とまではいきませんが、無いよりは随分ましです。暑さで死ぬことはなさそう、普通に汗ダラダラかきながら仕事出来るくらいにはなりました。(笑)

現場用に作られた製品ではない普通の家庭用なので、木屑や石膏ボードの粉塵が蔓延する現場で酷使した場合の寿命はいかに。まずは実験的に使い続けてみようと思います。

 

さて、前置きはこのへんで。
今の現場に入る直前にやったリフォームの現場の画像を出したいんですが、いきなり出すには嫌な画像なので前置きを長めにしてみました。
※閲覧注意なので小さな画像で載せます。

思い出すのも嫌になるので簡単に解説しますが、要は、新築時の対策が全然なってなくて白アリの巣窟になった住宅の床の張り替えを頼まれたので、やってきました。

もう何度も言ってますが、これは「年数が経った家はしょうがない」んじゃないです、「なるべくしてなった」事態です。新築のときに防蟻の対策(薬剤だけじゃなくて、床下の換気がしっかり出来ているかも大事)をやっていないからこういう事になるんです。

施工する人間の意識が足りない場合もあるでしょうが、今回の場合はそもそも白アリが大好きな環境が作られやすい工法だったことが原因です。施工方法を決めるのは大工じゃなくて会社。会社がずさんだと簡単にこういう事が起きます。ずさんというよりは「無知」というべきか・・・建築知識が無いのに家を売る会社はごまんとありますから、こんなケースもあっちこっちでしょっちゅう起きています。

だけど施主はそれに気付かない。「でたらめやってるはずだ」なんて疑わないですよね普通。で、「年数が経った家はしょうがない」とか、うまい言葉で言いくるめられたら「そうなのかな」って思っちゃう。だからでたらめな会社でも何十年もやっていられるんですね。

 

・・・あまりにも酷いので、いつにも増して毒が出ます。本当にね、こういうテキトーな会社ばっかりで嫌になります。少しでも長持ちするように、少しでも快適に暮らせるようにとちまちまと時間をかけている自分がアホらしくもなります。今の現場だって、何も考えてない大工がやったら隙間スースーな家になるところを、時間をかけて気密処理してます、無知な会社・テキトーな職人と同じレベルに落ちたくないので引き続きちまちまやりますけどね・・・あ~強めの毒が出てしまう。


別に他人を下げて自分を上げようと思って書いてるんじゃないんです。3歩歩くとこういうずさんな現場に当たってしまうので(それだけ適当な工事が多いってこと!世間に知られていないことが不思議でならない)、毎度毎度グチりたくもなるってもんです。私は決して御大層な技術を持っているわけじゃない。ただ普通の感覚で「これじゃあ快適に住めないよな」と思って、出来る範囲でやれることをやっている。この業界に入り込んでしまうと、普通が普通じゃなくなってしまう。どうせ自分が住む家じゃないから、住み始めてからの事なんて想像する気も起きない、同じ給料もらうならちょっとでも楽して早く終われるほうがいい・・・その程度のものになってしまう。

 

白アリだらけの床は、全面張り替え。これまでは床下を点検する術(すべ)すら無かったので、新たに3か所も床下点検口を設けました。根本的な解決にはなっていませんが、とりあえず悪化のスピードを食い止める機会にはなりました。

酷い状況になる前に定期的に点検する。当たり前の事ですが、それより当たり前なのは、普通に真っ当に仕事するってこと。いまいち納得いきませんが、普通っていうのはなかなか難しいものですね。