T邸解体工事

当事務所の設計施工で進める喜多方市T邸の解体工事が始まりました。
農家の作業小屋として使ってきた建物を解体し、そこに子世帯の住宅を新築する計画です。

今回は設計施工に加え、解体も私が担当します。
解体というと重機で建物を壊していくイメージがあるかもしれませんが、今回は人力で出来るところまで分解・分別し、躯体のみ重機を使う手法を取ります。
このほうが廃棄物の分別が格段に楽で、案外「最も効率的」な解体方法と言っていいかもしれません。

手壊しの手順は至ってシンプル。バールを使ってひたすら躯体から素材を外していきます。大工をやっているとバールを使う場面はさほど多くないんですが、解体のときは、ほぼバール1本。あとは脚立があれば作業の98%は事足ります。

解体する小屋は、明治時代から骨格だけを維持しながら増築改築し現在に至る建物。
解体していくと、昔は囲炉裏があったと思われる天井の煤(すす)の痕跡、モルタル壁の中には土壁と、すきま風防止?のために貼られたと思われる明治時代の新聞紙。
色々な時代を経てきた建物だということがわかって、なかなか面白いです。

施主であるTさんが生まれるずっと前からあったであろうこの建物、さぞかし解体にあたっては感慨深いだろうと思ったら、「道路沿いのこのボロボロの建物がなくなるかと思うとスッキリする」そうで(笑)ドライだなあ。

月曜からモルタル壁・土壁・外壁・屋根・サッシと撤去作業が順調に進み、土曜にはあらかたの手壊し作業が完了。
次の週から重機で躯体を解体し、土間のコンクリート撤去に入ります。