家は建てたら終わりじゃない【家にまつわるお金の話3】

家には3つのコストがかかると言われています。
・イニシャルコスト=建築費用。建てるときにかかるお金。
・ランニングコスト=維持費用。光熱費や税金・保険料など継続的にかかるお金。
・メンテナンスコスト=修繕費用。家の安全性・快適性を保つために必要な家の保守管理のお金。

家を建てるとき、ローンを組むとき、イニシャルコストばかり気にしていませんか。

家が完成したときや暮らしている最中、メンテナンスのことをきちんを頭に置いていますか。

前回の記事で、メンテナンス費用は30年で1000万円以上必要だと書きました。もちろん1000万円かからない場合もありますが、少なくない費用が必ずかかります。これを甘く見ていると、家の寿命が短くなります。

脅しているわけではありませんが、ランニングコストやメンテナンスコストの事をあまり深く考えない方が非常に多い。
家を建てる時には、全てのコストを念頭に置いた資金計画が必要です。

ライフプランニング、あるいはライフプランシミュレーションという言葉をご存知でしょうか。

結婚、出産、進学(教育)、退職など、人生のステージに合わせた金銭面での計画のことを指します。
家を建てる時にはこれを必ず行ってください。というか、資金的なシミュレーション無しで家を建てることは不可能です。家計の収支、今後の家族計画やそれに伴う費用などを想定し、そこからマイホームにかけられるお金を算出します。

たびたび、疑問に思うことがあります。
私に依頼してくださる方に限ったことではなく、一般的に家を建てようとする時、建築会社に「予算は2500万円」等と価格を最初に提示する方は多いですが、そう言うほとんどの方はライフプランニングを行っていません。では、その額はどこから出てきたんでしょうね?

たとえば銀行の事前審査で借りられる額が2500万円だった。とか。
一般論として、マイホームの購入費は年収の7倍くらいと言われているから、とか。
今のアパート家賃が8万円で、これと同額のローンにしたくて、60歳までの26年間で計算したら(8×12×26=)約2500万円だから。とか。
ただなんとなく、友達がそのくらいとか、相場がそのくらいかな、とか。

ちょっと待って。

実際にそれを払うのはあなた(や配偶者)自身ですよ。本当に払えますか?その根拠は?銀行や友達や一般論がそう言ってるからって、あなたの支払い能力を保証してくれます?

だいたいね、家賃(希望ローン支払額)が8万円だったとしたら、26年ローンで借りられる額は2100万円そこらですよ。金利があるんだから。(←実際に言われたわけでもないのに想像で怒ってる笑)

こんな甘い考え方のままで家を建てるのは危険すぎます。実際にあまり深く考えていない方がかなり多い。そして、そういう人に限って、契約した後や建てた後「ローン払っていけるんだろうか」と不安になったりするのです。さらに言うと、そういう人に限って、イニシャルコストしか見ていない。ランニングコストやメンテナンスコストの負担が意外に大きいことを知り、初めて不安になったり慌てたりするのです。

家を建てる時には、3つのコストを含めたライフプランシミュレーションが必要です。当然、光熱費はアパート住まいより高くなるだろうし、固定資産税もかかる。メンテナンス費用としての積み立てもしておくべき。これに基本の生活費・教育進学費・車両費・各種保険料・老後のための資金準備なども合わせ、5年後10年後30年後の収支を計算していきます。そこで初めて、家にかけたい予算2500万円という数字が適切かどうかがわかるのです。

 

設計事務所から発する情報としては、かなり説教くさい内容になってしまいました。

うちはローン取り扱い屋さんではないので、資金の事について口うるさく言う筋合いではないのですが、お金のことを安易に考えていたせいで、住み始めてから不安が大きくなることほど不幸なものはありません。

私の造った家でいかなる理由でも不安になってほしくない。そのため、プランニングよりも前にまずお金やライフプランの事をお話しするようにしています。
FP資格を持つコーディネーターがおります。銀行や保険会社所属のFPではない、さらに私の設計事務所所属でもないFPですので、超客観的な意見が聞けるはずです。ライフプランに関する不安などある場合はご相談ください。

ここ最近で急にお金の記事を連投していますが、特に利権が絡んでいるわけではありません。(笑)
家の話をするには、お金の事は絶対に切り離せません。そして、家を建てたい方にはお金の不安は付きものですから、そのあたりも解消できるようなお話がしていければと思っています。