便利さ最優先の120枚

床張りが終わり、外周の石膏ボード張りが終わると、次は内部の間仕切り壁の制作です。造作部分に固定用の下地を取り付け、棚等の造作をしていきます。


T邸は、これでもか!というくらい棚だらけの家です。(笑)
カウンター、飾り棚、固定棚、可動棚、ニッチ、壁埋め込みタイプの収納ボックス。棚と呼ばれるたぐいのものはかなり網羅したんじゃないかってくらい色んなタイプの棚を取り付けます。

棚板の総数でいうと120枚くらいあるんじゃないかと。しかもそのうちの8割は4mものの集成材から材料を切って造作していく作業です。造作を待つ集成材の山を見て気が遠くなりました。下地を入れて寸法を測って材料を切って表面にサンダーや鉋をかけて水平を見て固定して・・・地味に時間がかかります。

冒頭の画像の場所は、壁を閉じるとこうなります。下地を入れて3方の壁にしっかり固定してあるので、棚受け金物で支える必要はありません

この棚の多さは、Tさんがこの家に要望する条件の1つに由来しています。それは「収納類はできるだけ扉を付けない」ということ。

「収納の中の空気がこもるのが嫌」なのと、「扉の開け閉めが面倒」なのが理由だそうです。そのため、T邸はクローゼットなどの扉付き収納スペースがありません。洋服類は寝室の壁一面を可動棚にしたオープン収納に。その他の荷物は納戸へ。納戸にも数十枚の可動棚。

この「扉を付けたくない」方針は収納だけにとどまらず、「部屋のドアも要らない」のだとか。そのため、脱衣室や寝室の入り口には扉が付きません。いやいや脱衣室や寝室こそ扉がいるんじゃないの!?と驚きましたが、「頻繁に来客があるわけでなし、何から隠したいのか」と逆に聞かれる始末。

「来るか来ないかわからない客のために家を建てるんじゃないし」「住む人間の便利さの追求が最優先」と、ブレない方針にのっとって、家づくりは進みます。