地盤調査が第一関門

現在、会津若松市と喜多方市で注文住宅の打合せをさせて頂いています。コロナなどの影響で木材が高騰する「ウッドショック」が1年近く続き、打合せもしばし中断していましたが、高騰は落ち着いてきたとのことでまた徐々に話を進めています。
そのうちの会津若松の施主様の現場で、地盤調査を行いました。

調査・・・しました。したんだけど、調査の写真がありません。前回、写真はこまめに撮るって書いたばかりなのに(汗)

それにはワケ(というか言い訳)があってですね。

「朝9時には調査開始になると思います」と、前日に調査会社から連絡がありまして。
その日、私は他の現場の仕事をしていたので、地盤調査が終わる頃に中抜けして様子を見に行こうと思っていました。

これまで私がみてきた現場では、地盤調査の所要時間はだいたい2時間程度。だから10時休憩のタイミングで行こうかな~と思っていたら、10時前に施主様から電話がかかってきました。「地盤調査、9時からだって聞いてたから見に来たんだけど、誰もいないんです」
えっ?

現場に行ってみたら、冒頭の画像です。調査した形跡はあるが人っ子ひとり居ない。
ハイ、私が見に行く隙もなく、調査完了してました(汗)。
まあ、昔から付き合ってる会社なので別に顔を合わせなくてもいいっちゃいいんですが。調査員さんにその場の感触(改良が必要かどうかだいたいわかる)聞きたかったな。

結論から言うと、「スクリューを深く入れるまでもなく固い地盤だから早く終わっちゃった」ってことのようです。
地盤調査はドリル状のロッドを地盤に刺し入れて硬さを測定するんですが、固い地盤であればロッドが入りにくく、緩い地盤なら逆にスムーズに地中に入ってしまう。そして固い地層に到達するまでロッドを入れなければならない(要改良の場合にどの深さまで補強が必要かも知る必要がある)。緩い地盤だと必然的に時間がかかります。

たぶんちょっと早めに現場に着いて、早めに調査開始したんですね。調査も比較的短時間で済んだので、結局9時半頃には既に調査は完了していた、と。施主様にわざわざ来ていただいたのに申し訳ない。でも良好地盤で改良の必要は無いという報告が出来てほっとしました。

現場には、調査の痕跡だけが残されていた・・・

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さて、これは今回のことではなく、あくまでも一般論・これまでの私の経験上の話ですが。
これから家を建てようと思っている方は「耐震」については大いに興味があるのですが、それ以前に大事な「地盤」については、あまり念頭に無いようです。

家の丈夫さと地盤の丈夫さはどっちが欠けても住めない家になります。どれだけ頑丈な家を作っても、土地が崩れたらその家は全くの無駄になります。崩れるというと大げさですが、災害などで地盤が少しでも傾けば住んでいられなくなります。大きな地震で「液状化現象」という言葉がよく聞かれましたが、これは家の傾き・沈下が起きる代表的なものです。家を建てる以前に、その土地が家を建てても大丈夫かどうかをまず気にしなければなりません。

例えば、田んぼだった土地を親から譲り受けて家を建てる場合。地盤が弱いことが多く、ほぼ100%地盤改良が必要。これはわかりやすいですね。
盛り土した土地に家を建てる場合。盛り土してからの年数に関係なく、これもおそらく改良が必要だと思います。以前、ブログでも書いたT邸はこれにあたります。

T邸地盤改良

昔は川や沼だったところは地盤が弱いとか、逆に線路の近辺は地盤が固い(固い地盤のところを選んで路線を作っているらしい)とか。まあ都市伝説的な風味も若干ありますが、家を建てる前に、その土地の歴史を何十年何百年、何千年と遡って調べてみるのも面白いと思います。

地盤が固ければそれが一番だし、弱いと判断されたなら地盤改良すれば良い。話はシンプルなんですが、この地盤改良というのが新築工事するうえでの大きな課題でもあるんです。それがタイトルの「第一関門」に繋がります。

改良工事は5万10万では到底収まらない。規模によっては200万円なんてかかることも有り得ます。地盤改良をするとなると新築工事の総予算からガッツリ削られることになるわけです。新築工事を請け負う側は戦々恐々。調査結果が出るまでは本当に祈る思いで過ごします。

地盤改良することを前提にしていないと、いざというとき超絶慌てることになりますから、もちろん最初の段階で想定はしています。改良が不要となれば、予算的に諦めていた工事が出来たり、家の設備をグレードアップしたりする費用に充てられます。改良費用は家の予算とは別にポンと払えれば良いのでしょうが、ほとんどの方は総予算ありきで、そこから改良も建物もひっくるめて費用を配分していくことになりますからね。地盤改良の有無は、予算組みにおける大きな壁なのです。金額を決めて契約してから詳細打合せに入るようなハウスメーカーや工務店では、こういう予算配分はどういうふうにやっているんでしょうね?気になります。

ともあれ、今回はこの第一関門を無事突破。新築工事に向けて本格的に話を進めていくことになりました。ほっとひと安心。