私の「注文住宅」考

世界にふたつと無い、その家族のためだけの家。
注文住宅はそんなうたい文句でよく表現されますが、そりゃ注文住宅なんだから当たり前だろって誰もが思いますよね。私もそう思います。

でも、注文住宅ってたぶんその表現が一番合っていて、いろんな表現したって結局はここに戻って来るんでしょうね。


「その家族のためだけの家」ってなんなんだろうか。
私は、「その家族が満たされた心で暮らせる家」という意味だと思います。

間取りや仕様やデザイン。要望を聞いて図面に起こし、家という形にする。それは当たり前にやるべきこと。

そこから先、私がやれることは何か。

たとえば上の画像。玄関のコンクリートを入れた日、家族全員そろうことが出来たので、みんなの手形をつけました。
実際には、ここにモルタルを敷いてタイルを貼ってしまうので、完成したときには見えなくなってしまいます。

それでも、家族にとっては我が家に自分たちの形を残した、っていう小さな記憶が残って、「ここにみんなで手形作ったよね」なんて何年かに一度くらい思い出して。わずかでも満足感に繋がるんじゃないかなと思います。
同様に、壁紙を張って見えなくなってしまう柱に家族の願いを描いたり、屋根裏に家族の名前を記した棟札を上げたり。

現場で話し合ってその場で仕上がりを決めていくのも、臨場感があってちょっとワクワクしてもらえるんじゃないかな。
家づくりに関わることで、より「我が家」としての思い入れが強くなっていくんじゃないかな。

これはあくまでもひとつの手法であって、私がただひたすら思うのは、家という存在が家族の大事な場所であってほしいということ。

そんなに毎日毎日楽しいばかりなわけ無いし、幸せでばかりもいられるはずないんだけど、それでも「家」は、他のどの場所よりほっとできる、気を許して微笑みが浮かぶ場所、心の拠点であってほしいと願っています。

そのための、心地よいインテリア、快適な住環境、便利な動線。それプラス、我が家に愛着の持てる何か。家づくりに関わった記憶や、しるし。笑い合って暮らしていける、我が家に誇りを持てる、その家族のためだけの場所。

それが私の思う注文住宅。それが私がつくりたい家です。