喜多方市T邸 建て方③

建て方最終日。朝方すこし雨が降りましたが仕事を始める頃にはすっかり乾いて、滞りなく作業は進みます。屋根をかけ、耐力壁となる構造用面材を外周に張る工程に入っていきます。

夕方には板金屋さんが到着。屋根を葺く前の防水下地となるルーフィングを葺いて、理想的な工程で建て方は完了。少しくらい雨が降ってもこのルーフィングが雨水の侵入を防いでくれます。

壁のほうは構造用面材があればだいたい防げますが、窓などの開口部はブルーシートで。あす日曜は雨の予報なので、しっかりめに養生して週明けに備えます。

最近では「上棟式」をやる施主さんはかなり少なくなりました。五色旗を挙げて餅まき、なんていうのもごくたまに耳にする程度です。

T邸でも一応、建て方の日程を決めるときに、聞いてみました。上棟式しますか?
「やらない。」即答です。(笑)

これまでのやりとりでもそうでしたが、Tさんは非常に合理性を好む施主さんです。地鎮祭も行いませんでした。
「本宅はまだ現役で住んでいるのだから土地の神様はずっと見守ってくれているはず。地鎮祭をやらないからといって怒るような神様でもない。もし何か起こったのだとしたらそれは地鎮祭をやらないからじゃなくて私の日頃の行いが悪いからだと思って受け止めるよ。」

アッサリしているというかなんというか。でも地盤改良と基礎着工の日の朝には早起きして工事の安全を神様にお祈りしたんだそうです。合理的なような信心深いような?でもそれもまたひとつの考え方というか、住む人の心の持ちようなのだなと思ったエピソードでした。

風習にならう事はそれを受け継いでいくためにも大切なこと。しかし何かをやらなければならないと形に縛られたり、 これをしなかったからだめだったという思いに囚われては意味が無いのかもしれません。祭事や風習なんていうのは心身ともに無事に平穏に暮らすためにあるものなんでしょうから。