30周年です

今年4月で、私が大工を始めてから丸30年が経ちました。

高校卒業後5年間は、建設会社に就職して首都圏のマンション・事務所ビル・観光ホテルなどの現場監督補助として働いていたので、それを合わせるとこの業界に携わって35年になります。

大工になってからの30年を振り返って色々思い出してるんですが、それを書いているとブログ1回分では到底納まりきれないので割愛するとして。

今回はちょっと目先を変えて、私のそばにあった”音楽”のことと一緒に、この30年のことを少し書きたいと思います。区切りの年ということで多少感傷的ではありますが、まあ、いつものひとり言としてお暇な方は読んでいただければと思います。

 

以前もちらっと書いたことがありますが、私は現場の仕事中はずっと音楽を聴いています。建物の壁をつくってサッシを取り付けて、外に音が漏れない状態まで工事が進んだら私の自由時間。好きな曲をかけ、歌いながら仕事をしています。誰かが急にドアを開けたりすると恥ずかしいから、声のボリュームは控えめで。(笑)

30年といえば、Mr.Childrenも今年でデビュー30周年を迎えました。

私が聴いてきた音楽は、その時々で移り変わったりしましたが、Mr.Childrenはずっと昔から変わらず聴き続けています。彼らは世間的には「ヒットを連発」し、「流行を作ってきた」「大御所」的な位置付けですが、同年代で昔から聞いてきた私としては、時期や曲を限定せずいつも等身大の歌詞に共感し励まされ、メロディーに心打たれ一緒に口ずさんだ、”共に歩んできた同志”のような存在です。これをご覧になってる方も、好きなミュージシャンや俳優さん等に置き換えたら、同じように歌詞に共感したり心境を重ね合わせたりしたことがある方は多いんじゃないでしょうか。私は単なるいちファンだし勝手に親近感を持っているだけの話ですが、こんなにも長きにわたって人を惹きつける曲を書き続けられる事、沢山の人に希望や夢や感動を与えられる事、同年代としてとても羨ましいし、素敵だなと思います。

この30年間、私は大工として、様々な現場を経験しました。もちろん楽しいばかりでなく苦しい辛い時期も沢山。夜中まで仕事するなんていうのは日常で、ブラックなハウスメーカーの下請けで酷使された暗黒期、仕事が心底嫌になったときもありました。書いたらまずいような闇の感情を抱いたことも1度や2度ではありません。そんな年月も、程度は天と地ほども違うのでしょうが、桜井さんと似たような境遇を辿っているという妙な仲間意識で自分を励まし切り抜けてきたように思います。泣いたり笑ったり、苦しんだりもがいたり、嫌気がさしたりまた一歩進んだり。良い時も悪い時も、その時々の感情と歌詞を重ね合わせ、成長してきた。力を与えてもらって、なんとかかんとか、今でも建築に関わる仕事を続けていられる。もちろん私の人生は自分のものであって、自分でなんとかするしかないのは当然ですが、彼らの曲と出会えたことで、これまで生きてきた時間の随所に彩りを与えてもらいました。だからこの出会いにとても感謝しています。

 

YouTubeのMr.Children公式で見られるライブ映像で、曲の合間に桜井さんが話した言葉にまた強く共感しました。

「いつまでこんなふうに楽しく歌えて、演奏できるんだろう・・・そんなふうに考える機会が増えた。同世代・近しい人が病気になったり亡くなったり。だからこうして今、ライブでみんなと向き合えている時間、音楽を奏でていられる時間を大事で愛しく思う。1日1日、ひとつひとつのフレーズを大事に響かせていきたいと、今、思う」

このページをご覧になっている方、家を建てようと考えている方の年齢はおそらく、30代~40代が多いのではと思います。もしかしたら今はピンとこないかもしれませんが、人間、50歳も過ぎてくると、上記のようなことをよく考えます。

私もいつまで仕事が出来るんだろうか。こうやって手足を自由に動かして、好きな曲を聴いて歌って好きな仕事をやれている時間は、決して当たり前のものではない。ひとつひとつの事に向き合い、大事に作っていかなければ。どんどん過ぎ去っていく今という時間、目の前にあるものを大切に。

 

夜中まで働くことは無くなりましたが、ご近所の迷惑にならない範囲で夜まで仕事をすることは今もあります。夜は業者の出入りが無く集中して出来るので、けっこう好きなんです。熱唱しても誰にも見られる心配無いしね。楽しい気持ちで口ずさみながら仕事してると、はかどるし、あっという間。

 

“世界中を幸せにできはしなくたって このメロディーをもう一度繰り返す”

Mr.Children 「あんまり覚えてないや」

全ての人に賞賛されるものではなくても、縁あって出会えた家族が楽しい・幸せな気持ちを持って暮らせる、他には無いその家族だけの家をつくりたいと思う。

“考えすぎで言葉に詰まる自分の不器用さが嫌い
でも妙に器用に立ち振る舞う自分はそれ以上に嫌い”

Mr.Children「HANABI」

営業トークは出来ないし、そもそも器用に立ち振る舞うような事も出来ないけれども、自分で自分を認められるような仕事をやり続けたいと思う。

家は、歌のように沢山の人の心を動かしたり永遠に残るものではない。でも、あたたかな暮らし、笑顔や思い出を作る空間として、その家族にとっての永遠には成りうる。

え?くさい?何かもっともらしいこと書いてみたかっただけなので許して。

  

Mr.Children30周年記念ライブツアー、「半世紀へのエントランス」ってタイトルを見て個人的には気が遠くなりましたが(笑)、私も挑戦心をもって前に進まなきゃな、と改めて思いました。30周年に浸ってるヒマがあったら次に進め!って背中をドンと押された気分です。ライブにはいけませんが、そろそろWベストアルバムも発売なので、現場でヘビロテして歌いたいと思います。

 

実は、いつか1つでも歌をつくってみたいという野望を、もう何年も前からひそかに抱いています。音楽のことなんて何も知らないし、自分自身でさえ才能を感じたこともありませんが。誰かの心に響くようなものを作りたい、自分の中の潜在的な願望がそういう思いを抱かせているのかもしれません。

その願いが叶うかはかなりの未知数なので、現実に立ち返ってもっと実現に近い目標を。

記憶に残る、幸せになれる家を、お客様と楽しくつくっていけたらいいなぁ。