会津若松市S様邸

4月に上棟した現場、無事引渡しが完了しました。近年は個人情報やプライバシー等も色々ありますので詳しい説明はあまり出来ませんが、簡単に紹介したいと思います。

 

設備の一部または全てを分けて暮らす2世帯住宅とは異なる、お風呂やトイレなど全て共用の3世代同居の住宅。42坪の中に約26畳のLDK+和室、6畳以上の個室5つを配し、玄関やトイレなどの必要空間も多世代同居に充分な広さを確保しつつ、動線や収納量など暮らしやすさを徹底して考えたプランです。

床は無垢材の質感が心地良い突板フローリング。ナチュラルな雰囲気のご希望に沿った優しい配色でまとまりのある空間になりました。キッチンの造作棚はあえて着色せずに素地の風合いを残しています。しっかりと存在感を放つハンドメイドのアイアンブラケット(棚受け)がなかなか良いアクセントになっていると思います。

キッチンの奥には食品庫兼リビングの収納となるパントリー。生活感が出がちな冷蔵庫もパントリーへ置きます。パントリーは出入口がキッチン側・リビング側と2つある回遊式の配置になっているため、動線が混み合うことはありません。

パントリーの入り口には壁の厚みを利用したスパイスラックを設けました。扉が無いオープン収納でもリビングからは見えないので、調味料類、瓶類、缶詰や乾物などよく使う雑多な食材を無造作に入れておいても大丈夫。

パントリーの一角、リビングから近い場所には、デスクとしても使える造作棚のスペースを設けてあります。お子さんのカバンや学校からのお便りなどをまとめておける場所。お子さんが成長したら、ちょっとした家事スペースとして、パソコンスペースとしても使えます。来客時は扉を閉めることで簡単に目隠しできます。

洗面台は脱衣室とは違う場所へ設けるようおすすめしました。多世代で暮らす際は特に家族の生活時間が異なる場合が多いので、「誰かがお風呂に入っている間は洗面所を使えない」という不便を避けるためです。家に入ってすぐ手を洗ったりできるよう、家族用玄関の正面に洗面台を設置。計画当初は無垢の木の造作洗面台がご希望でしたが、手入れや維持が面倒なこと、予算の優先順位としてそこまで重視するものではないという結論から、下台を既製品とし、ニッチを造作してナチュラル風味に仕上げました。壁は水分や汚れに強いパネルを貼ったので、掃除も簡単です。

お子さんは野球をしていて、絵を描くのも好きとのこと。洗面台やキッチンシンクとは別の洗い場が必要と思いましたので、脱衣室にスロップシンクを提案しました。深さのある陶器製のスロップシンクなら、汚れが付きにくいし水はね・飛び散りに気を遣わずジャブジャブ洗えます。お湯も使えますので洗濯物の下洗いにも便利に使っていただけると思います。スロップシンクの隣には洗濯機が置かれる予定です。

リビングの東側に面した敷地は、これから木を植えたり畑を作ったりしたいとのことだったので、大工仲間に協力してもらってトラック3台分ほど土を運び込みました。引渡しの前日、荷台から下ろして山積みになった土を一人で平らに均しながら、この1年半のことを振り返っていました。

S様邸は、初回打合せから竣工まで足掛け1年半と、少々長めの時間がかかりました。木材が高騰するウッドショックがあったり、前面道路の件で市との協議が長引いたりと、お客様の意向とは違うところで時間を必要とすることも多かった。それでも「秋山さんに任せる」と言って頂き、気長に待って頂けて、ようやく引渡しまで辿り着くことができた。家を造ってる間ももちろん気持ちは込めてますが、最後、土を均す手に感謝の気持ちを込めつつ作業しました。引渡しの日も直前まで作業していたので、汗だくでの引渡しとなりかなり暑苦しくなってしまいましたが(^^;、完成した住まいに満足の声を聞かせて頂けて、ほっと胸を撫で下ろした次第です。この家が、ご家族の安心と幸せを守る一助となれば幸いです。