玄関

T邸は玄関から入ってすぐの土間スペースに薪ストーブを設置しています。

一般的にはリビングに置くことの多い薪ストーブですが、薪を運び込む手間や木くず・灰の掃除を考えると土間のほうが合理的だろうという結論です。
この土間スペースはすぐにリビングに繋がっていて、ストーブのあたたかさが届きやすいのはもちろんのこと、ストーブの中で燃える火をリビングから眺めることができます。

断熱性を重視し、玄関ドアは高性能なグレードを選定。
ガラスを入れると断熱性能が下がるため明かり窓も無いものを選びました。
玄関からリビングとキッチンが見えます。

3枚引戸の大きな開口からリビングへ。冬は特にここを開け放って薪ストーブを焚くため、来客は玄関から直接リビングやキッチンが見えるつくりになっています。「この家は散らかってるな、と思われても別にかまわない。ていうかリビングだけじゃなくそのうち玄関も散らかるから隠したって同じ」相変わらず来客の視線は気にしないスタイル。自分の家で人目を気にすることの価値がよくわからなくなってきました(^^;)

一応、扉で目隠しすることは可能。エアコン稼働時は使うことになるかな?
右の扉が書斎への入り口。さらにその右側に薪ストーブ。

薪ストーブのある土間スペースは、他の部屋よりも天井を20センチほど低くしてあります。建具類の納まりを良くするのが主な目的ではありますが、これによってリビングの勾配天井の空間が より開放的で広く感じられるようになりました。また、薪ストーブで温めた空気は、土間スペースの天井に溜まることなくリビングへ流れていきます。リビングではシーリングファンが暖かい空気を拡散し、全体を温めるといった流れになります。

 

玄関を入ってすぐのシャンデリア。
実はこれ、昨年解体した別の家屋から譲り受けてきたもの。家と一緒に壊して捨ててしまうところを「うちで使いたい」とTさんが持ち帰ってきました。

「ほんとに使うの?」何度も聞いてしまったほど、もらってきた時のシャンデリアは長年の汚れとサビで黒ずんでいました。
ガラスパーツは全て取り外して洗い、パーツを繋いでいた金具は新しいものに交換。その他の金属部分はサビ落としで磨き、電球はLEDのフィラメント球に。
「昭和に作ったものは形がレトロでモノも丈夫。きれいにしたら絶対使える!」の言葉の通り、見違えるほど見事に再生しました。
誰かのゴミは誰かの宝。リユースとは正にこの事なんだなと実感。
息を吹き返したシャンデリアは、T邸でまた新たな暮らしを照らします。(言い方がくさい)

「可愛すぎない武骨な感じが昭和レトロ」なのだそう。
捨てられる運命がこんなふうに変わることがあるんですね。

玄関の一角には、収納スペースを兼ねた小ぢんまりした家族用玄関があります。普段は薪ストーブ前の大きな框から上がりますが、サンダルや長靴などの脱ぎ履きはこっちで。
この造り付けの棚は、脱ぎ履き用のベンチと手摺の役割を持たせて設置したものです。ベンチはいずれ必要になった時に使うためのもの。折りたたみ式なので、必要の無い時は畳んでおくことができます。

折りたたみ式のベンチは耐荷重110kgと全身を乗せても大丈夫。
この写真の左側が収納になっており、ここから荷物を取る時も踏み台替わりに使えます。