夢だけでは生活できない

なんとも否定的なタイトルですが。

別に、昨今の小中学生の将来の夢1位が「YouTuber」だってことにガッカリしているわけではありません。(笑)

もちろん家の話です。

家を建てるのは人生の一大事。思い入れが大きくなるのも、あれもこれも詰め込みたい気持ちも、よくわかります。それを可能な限り実現するのが私の仕事ですから、そこは否定するつもりはありません。

その「ふくらむ想像」の中に、「今の夢」だけじゃなく、「30年40年後の現実の暮らし」を見てください。というのが今回の話です。

家を建てる方のボリュームゾーンは30代から40代。子育て世代であり、働き盛りであり、こどもの行事・地域とのコミュニケーション・自分たちの趣味やレジャーなど、人生の中で最も忙しく精力的に行動できる年代でもあります。

そんな「現在のライフスタイル」は、長く続いてもおそらく10年~15年。時間の経過とともに、こどもの進学・就職、あるいは自身の退職、親の介護や同居を考える機会もあるかもしれない。
そして何より、自分自身が年老いていくということ。年老いた身で、その家に住むということ。家を建てたいと思った時、想像していますか。

10年後、20年後、30年後、40年後。
その家での生活はどうなっていますか。誰と、どのように暮らしていますか。

 

夢のマイホーム、理想の暮らしを否定するつもりはないので、言い方が難しいですが・・・
いま理想としている間取りやデザイン、暮らし方があったとして、それを30年後も継続して「良い」と思えていますか。

例えば、もしリビング階段にしようか迷っているんだったら、30年後でもリビング階段の暮らしが楽しめるのか想像してみてください。
いま必要だと思っているものは、こどもが小さい時だけではありませんか。
自分が高齢になった時、何が必要になると思いますか。

飽きたり不便になったらリフォームすればいい。それはそう。
しかし、建てる前に30年後を想像しておくだけで、リフォームしなくていい家になるかもしれない。それだけの事なんです。

こういうデザイン、こういう間取り、こういう暮らし。理想は沢山あるでしょう。そこに時間の経過を加えてください。こどもが巣立ってから、自分が退職してから、自分を含む誰かが介護を必要としてから。そういう必ず来るであろう現実の生活を想像してください。

せっかく夢のマイホームなのに、介護を想像しろなんてテンションが下がりますか?
そうがっかりする事でもないですよ。

楽しい事しか見ない家づくりは、完成するまでが楽しいだけです。その先、生活は何十年と続く。
想像することは、備えること。先々の喜怒哀楽を想像できる家づくりは、想像すればしただけ、必ず未来の生活の質を上げてくれます。

もちろん、想像を実際の形にするのはこちらの役目。30年後40年後のために具体的にどうしたら良いのかは、こちらで提案します。
最近、これは若い時しか住めない家だなーとか、LDKは凝ってるけど住みにくくないのかなーとか思う家をよく目にするので・・・
「3回建てないと満足できる家にならない」なんて思わなくて済む、理想の家を実現するための心がまえのお話でした。