キッチン

キッチンは、最も頻繁に使う人の意向を反映することが何より優先されます。T邸では、ステンレスのワークトップ、床はフローリングではなくクッションフロア、背面収納は全て扉の無いオープン収納。

・キッチン本体
最近は人造大理石のワークトップが主流なので、ステンレスのキッチン自体の取り扱いが少なく、検討に時間がかかりました。
「熱い鍋を直で起きたいし、カレーだのトマトソースだのの色移りの心配もしたくない。ガシガシ洗って一生使えるものがいい。」 人造大理石は樹脂なので、それなりに手入れに気を使います。だから最初から選択肢に人造大理石は存在しませんでした。「本当はオールステンレスにしたい」「だけどキッチンにそこまで予算はかけなくてもいい」細かく優先順位を決めて、高価なオールステンレスのキッチンを諦め、ワークトップだけをステンレスにしました。

下部収納は、内側までホーロー製のためこちらも多少雑に扱っても大丈夫。扉無し仕様は一部しか反映できませんでしたが、一部の引き出しをなくすだけでも10万円近く予算を削減できます。この空洞部分もホーローパネルが貼ってあり、手入れが簡単です。

施主支給でステンレスの手元収納を追加。

・クッションフロア
「絶対汚れるから、洗剤付けて水拭きできる床がいい。」という要望を最優先に、クッションフロアに。一般的なクッションフロアの1.3倍の厚みがあるものを使っています。フローリングよりも柔らかいので、長くキッチンに立っても足腰に優しい床になりました。

・背面収納
キッチンとシリーズを揃えたシステム収納ではなく、全て大工の造作による背面収納です。ポイントは扉の無い収納であることと、飾り棚の要素を持たせていること。家電を置く部分はキッチンパネルで防汚して掃除しやすく。
調理家電は出力が大きいため、カウンターに2か所コンセントを設け、それぞれ単独のブレーカーとしています。

全てをオープン収納にするのは多少思い切りの要ることかもしれません。T邸では、「散らかって見えるのを気にするより使い勝手を優先」してこの仕様となりました。人の目を気にするのであれば扉が欲しくなりますが、それよりも毎日の生活の楽さを重視。必要なものは全て、手を伸ばせば届くところにある。しゃがんだり扉を開けたりする手間を省き、ワンアクションで目的の物を取り出せます。

こんなに大きいカウンターが要るのかと思いましたが、なるほどこれは必要だ。

毎日の生活にストレスが無いこと。全てに優先されるそのテーマに基づき、プランを展開しています。ガシガシこすって洗えるキッチン、洗剤を撒いて拭ける床、開け閉め不要の扉無し収納。扉が無いことで、背面収納は予算のカットにもつながっています。

 

冷蔵庫の奥には書斎へ続く扉。

リビング、ダイニングと一直線で繋がる対面キッチンは、使い勝手としてはあまり評判が良くないようです。カウンターを挟むため、キッチン側とダイニング側を行ったり来たりするのが面倒、というのがその理由。T邸でもキッチンがらみの部屋の配置は最後までプランが難航しました。最終的に重視したのは「キッチンの導線<キッチンから書斎までの距離」となりました。在宅で仕事をしている奥様がキッチンと行き来して家事しやすいように。というのは表向きで、書斎で晩酌するから「酒とつまみを最短距離で取りに行きたい」んだって。(笑)